新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

　次々と溢れる涙を必死に拭っていると、ジョージさんにクシャッと髪を撫でられた。

「それに駆け落ちという手もある。そのときは俺も川端も手助けするさ。……な？　川端」

　にっこり微笑んで言うジョージさんに、目をパチクリさせるが、すぐに気づく。これはからかわれているのだと。

　ちょっぴりムッとなり、「ジョージさん、イジワルです」と言えば、私たちのやり取りを見ていたふたりは笑い出した。

　どうやらジョージさんが、ふたりを笑わせようとしたようだ。大家さんと金子さんの笑顔を見て、ホッとした顔をしているもの。

　こういう些細なことで、また私はジョージさんへの恋心を募らせる。

　好きな人の大切な人である大家さんと金子さんには、心から幸せになってほしい。……でもきっと、もう心配する必要はないよね。

　ふたりならどんな困難も乗り越え、幸せになれるはず。この笑顔がそれを物語っているよ。

　この週末の土曜日、大家さんは私とジョージさんに見送られ、金子さんとともに緊張しながら彼女の実家を訪ねていった。