新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 よかったら一緒にやろうと言われ、それもまた楽しみであった。

 軽い足取りで歩を進めていると、シェアハウスの前に人影が見えた。

 もしかして私が迷わずにこられるか心配して、大家さんが外に出てきてくれたのだろうか。いかにも優しそうな人だったし。

 そんなことを考えながら足を進めていたが、はっきりとシェアハウスの前に立つ人物を目にすると、途端に足は止まり、咄嗟に電柱に隠れた。

 これでは不審者だ。しかしそうせざるを得ない。だって立っているのは新川部長だったのだから。

 え、どうして新川部長がシェアハウスの前にいるの?

 頭の中はパニック状態で、オロオロしてしまう。

 もしかしたら私ってば、幻覚を見ていたのかも。それか男性の顔がみんな新川部長に見えちゃっていたとか。

 バカげた可能性を考えて再び目を向けたが、どう見ても新川部長だった。

 やっぱり見間違いじゃない。どういうこと? どうして彼がここに!?

 頭を抱え込み、必死に思いを巡らせていると可愛らしい声が聞こえてきた。

「ごめん、ジョージ。遅くなっちゃって」

 この声……!

 すぐさま声のしたほうを見ると、ひとりの女性が新川部長のほうへ駆け寄ってきた。
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