新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～
「そう簡単には認めてくれない、か」

　それも覚悟していたが、初めて父さんに自分の気持ちをぶつけることができて清々しい。

　仕方がない、これが俺の人生だと決めつけて、父さんに正直な気持ちを伝えずにきた過去が悔やまれる。

　だからこれから変えていけばいい。自分の人生、好きなように生きたい。

　ゆっくりと立ち上がり、心配する家政婦に「帰ります」と伝えて実家を後にした。



　その足で会社へ向かうと、いつも以上に視線を感じる。そして挨拶をすれば、決まり文句のように「ご結婚おめでとうございます」と祝福の声をかけられた。

　川端から昨夜聞いてはいたが、予想以上に俺と彩香の結婚の噂が広まっているようだ。

　営業部に行けば、先に出勤していた彩香が同僚から取り囲まれていた。

「おめでとうございます～！」

「結婚式、絶対に呼んでくださいね！　楽しみにしていますから」

　祝福の言葉をかけられ、彩香はにこやかに「ありがとう」と返している。

　土曜日の夜、陸と彩香は幸せそうに寄り添って帰ってきた。ふたりの姿を見て、俺と川端は安堵し、事の経緯を聞いた。
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