新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

　女子社員が配属されると聞くと、毎回不安を煽られていた。ひとめ惚れしたと言い、つき纏う者がいたからだ。

　陸が募集したシェアハウスの住人だとは知らず、最初は疑ってしまったが、川端は俺が知る女性とは少し違った。

　まず肩書だけで俺を見ない。陸や彩香のように俺に接してくるし、なにより素直でいい子だった。

　仕事に対しても真面目で、営業経験もあるため知識も豊富。営業部の同僚とも早くに打ち解け、同期の井手とはいい関係を築けているように見えた。
　実際に同様の話が教育係の彩香をはじめ、他の者からも上がってきている。

　だからだろうか、陸と彩香以外にこんなにも素の自分で接することに、抵抗を感じないのは。
　三人の空間に川端がいても違和感がなく、むしろ心地よい。きっと陸と彩香も同じように感じているだろう。俺以上に川端のことを気に入っているようだ。

　笑顔が可愛くて、あまりに素直すぎるから、柄にもなく時々からかいたくなる。

　そんな真っ直ぐな彼女にだからこそ、長年思い悩んでいた俺たち三人の関係性について気づかされたのだろう。

　もっと早くにふたりのために、俺が動くべきだったと。

　自信が持てない陸を叱咤し、父親に真っ向からぶつかる。そうすればよかったんだ。