新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～
「ならよかった。じゃあそれを涼ちゃんにも伝えてあげて。朝からずっと実家に行ったジョージのことを心配していたから」

「えっ？」

　彩香の視線の先を辿ると、チラチラと俺たちの様子を窺う川端の姿があった。

　しかし目が合うと、ビクッとしてあからさまに逸らす。わかりやすい態度に、自然と笑みが零れる。
　すると急に彩香はニヤニヤしながら言った。

「やだ、ジョージってば。涼ちゃんを見る目が甘々なんですけど」

「は？」

　心外なことを言われ露骨に顔に出すが、彩香はからかい口調で続ける。

「涼ちゃんを見て私も陸も、ジョージのドストライクきたー！　って思ったの」

「なにを言って……」

「本当のことでしょ？　だってジョージの涼ちゃんを見る目はいつも優しいもの。それに素の自分でいられるのは、ジョージにとって涼ちゃんが特別な存在だからじゃないの？」

「いい加減にしろ」

　こういう悪ノリするところ、陸にそっくりだ。俺にとって川端が特別な存在？　そんなわけがない。シェアハウスの住人同士であって、上司と部下である。

　なのに彩香は声を潜めながらも、ヒートアップしていく。
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