クールな王子は強引に溺愛する
「エミリー。ありがとう。俺はきみが修道女になりたいのを知っていたのに、無理矢理に結婚を承諾させた」
「そのような……」
どこか弱々しいリアムに、エミリーは胸が締め付けられる。
「リアム様は私を助けてくださいました。修道女になりたかったのは、その、自分の想いが分不相応だと」
つい本音を漏らすと、突然肩を強く掴まれた。
「想いを寄せていた者がいたのか!」
責めるように揺さぶられ、目を丸くする。すると、ハッと我に返ったリアムは「すまない」と手を離し、顔を背けた。
想いを寄せていたのは、貴方様にです。
そう告げてしまいたい気持ちを飲み込んだ。言ってなにになると言うのだろう。エミリーは違う言葉をこぼした。
「リアム様はどなたか……」
聞かなければ良かった。そう後から思ってみても遅かった。リアムは聞いているこちらの胸が張り裂けそうな声で告げた。
「気持ちが、届かない相手だから、な」