クールな王子は強引に溺愛する
テーブルの下でリアムに手を握られ、恥ずかしい気持ちと満たされていく気持ちとが綯交ぜになり、思考全てがリアムに持っていかれる。
悪戯に手の甲を指でそっと撫でられ、体を揺らしそうになるエミリーにリアムが満足げな顔をしたのを気配で感じた。
「仲の良さを見せつけるな。リアムの緩んだ顔を見るのは、少々堪える」
視線を逸らすバージルが口元に手を当て、不平を漏らす。
「そう思うのなら、縁談相手の絵姿を眺めてみてもいいだろうに」
陛下にため息混じりに言われ、これ以上突かれるのは勘弁だと思ったのか、バージルは王国の情勢についての話を始めた。
「陛下。そのような話よりも、隣国の兵力についての報告がついさきほどありました」
「おお。そうか。それで我が王国の脅威になりそうなのか」
そこからは政治的な話になり、陛下とバージル、たまに口を挟むリアムの三人で会話が進んでいった。