クールな王子は強引に溺愛する
食事を済ませ、部屋に戻るとリアムは奥の部屋で、エミリーは隣の部屋でと、互いに着替えをし長椅子に腰掛ける。寛いだ雰囲気のリアムは、エミリーが隣に座るとその腰に手を回した。
「あ、あの。リアム様?」
どこか甘い雰囲気を醸し出すリアムに、ドキドキと鼓動が速くなる。
「つい白熱して、仕事の話ばかりになってしまったな。つまらなかっただろう? すまなかった」
「いえ。とても真剣なご様子が伝わりましたわ。王国を思われているのだとわかり、一国民としてうれしく思いました」
リアムは頬を緩め、プラチナブロンドの髪を一房手に取ってその髪に口付けて言う。
「そうか。俺は兄上に見つめられても惚けることなく、俺に助けを求める視線を向けたエミリーが愛おしかった」
間近でリアムの色気ある仕草を見つめ、つい本音をこぼす。
「リアム様に今のようなお顔で見つめられていますから、バージル様に惚けろと言われても無理ですわ」
「今のような?」
「はい。見つめられただけで、溶けてしまいそうです」
バージルは確かに魅惑的な王子だ。けれどいくら外見が素晴らしい男性に見つめられても、内から滲み出るリアムの色気を目の当たりにしているエミリーの前では意味をなさない。
その上、リアムへの気持ちも自覚をした今、ただリアムが自分を見るだけで、胸が飛び上がるほどに高鳴るのだ。