クールな王子は強引に溺愛する
『常に命を狙われる宿命』
淡々と告げるリアムの腕にギュッとしがみつく。微かに震えるエミリーに、リアムが優しく付け加える。
「恐るるには及ばない。安全な方法で毒を体に慣らし、また、解毒剤も調合している」
そう言ってから、リアムは続けた。
「そもそもあの場所に入ったところで、毒を簡単に盗み出せるほど管理は甘くない。キッシンジャー卿が良からぬ企みで足を運んだとしても、徒労に終わったはずだ」
「そう、でしたか」
『毒』という不穏な言葉に緊張したが、差し当たっての危険がないと知り、少しだけ安堵する。
しかしキッシンジャー卿の目当ての物があるからこそあの場所に侵入したのなら、目当ての物は毒。このまま彼が大人しくしているとも考えづらい。毒を必要としているかもしれないその事実に、冷たい恐怖が背筋を這い上がる。