クールな王子は強引に溺愛する
あまりに楽しそうに笑われて、不貞腐れているのがなんだか馬鹿らしくなる。
「ずるいですわ。意地悪ですのに、お優しいお顔をされて。怒るに怒れなくなってしまいますわ」
目を見開いたリアムはやっと笑い声を潜め、柔らかな顔つきでエミリーを抱き寄せ頬を擦り寄せる。
「我が妻はお人好しだな」
「それは、リアム様の穏やかなお顔が、その、見ていたいのです」
つい『リアム様の穏やかなお顔が好き』だと口を滑らしそうになり、口籠る。
「俺もエミリーにはいつも笑っていてほしい」
甘い囁きを聞き、胸が高鳴る。頬に優しく唇が触れ、この後の甘いひと時を予感する。
「あ、あの。お食事を」
恥ずかしさから、テーブルに視線を向けるとリアムも視線を移す。
「ああ。そうだったな。エミリーといると時を忘れる。昼からも重要な会合がある」
エミリーから離れたリアムの顔からは穏やかさは消えており、すっかり第二王子リアムの精悍な顔つきに戻っていた。それを残念に思いながら、急いで食事を済ませた。