クールな王子は強引に溺愛する
ほどなくしてリアムも身支度を終え、いつものように寛いだ雰囲気で椅子に腰掛ける。
大抵どの貴族の屋敷の客室もベッドのほかにテーブルセットが一脚あるため、寝る前に紅茶を嗜みながら語らうのが定番になっていた。
モリーは聞かなくていいと言ったけれど、純粋な興味としてリアムに質問を向ける。
「リアム様は身分違いの結婚について、どう思われますか?」
リアムは動きを止め、それからティーカップを持ち上げていた手をゆっくりと下げてカップをソーサーに置いた。
「どうしてそのような」
声は冷ややかに発せられ、緊迫した空気を感じる。
「いえ、なんでもありません」
視線さえも冷たくて、これ以上聞ける雰囲気ではない。
もしかして、リアム様も身分違いの恋に悩んでいらしたのかしら。だってリアム王子が想えばどんな女性だって振り向くわ。想いが届かない相手は、もしかして平民の方?
良からぬ想像を掻き立てられ、慌てて頭を振り妄想を追い払う。