クールな王子は強引に溺愛する
しかし、初夜を迎えてから一ヶ月ちょっと。月のものが来るには遅いくらいだ。そこで、はたと気付く。
「月のものにしては遅くないか。もしや、ややが出来ていたのでは」
顔から血の気が引いていくのを感じる。交わりを持ったのだ。そうであってもおかしくはない。体調が悪いのもそのため……。
侍女は焦りの色を浮かべつつも、俯かせていた顔をより深く下げた。
「ご心配には及びませぬ。エミリー様にとっては周期が人よりも、ゆったりなのが正常でございますゆえ」
「そうか。そうなのか。安心した」
エミリーの体調が著しく悪いわけでも、新しい命が灯火を消したわけでもないと知り、スッと冷静になれた。
「会えぬわけではあるまい」
「あ、あの。リアム様!」
慌てる侍女を尻目に、リアムは部屋へと向かった。