クールな王子は強引に溺愛する
死がふたりを分かつまで
体調が整った頃には、お披露目会の当日になっていた。
「一番大切な時期にお役に立てず、申し訳ありませんでした」
「いや、ドレスが急ごしらえになったのだけが、心残りだ。次は仕立て屋を呼んでエミリーの体に合わせて作ろう」
手を回されている腰を撫でられ、肩を揺らす。
「リ、リアム様」
「フッ。いつまでも初心だな」
『いつまでも』と言われてもリアムとは初夜から数日体を重ねただけ。それも遠い昔に思える。
「今日の晩餐会は俺が次期クリフォード辺境伯になる顔見せも兼ねている。そこでエミリーは俺の妻だと挨拶をしたら、もう後戻りは出来ないだろう。それでもいいのか?」
クリフォード辺境伯を譲り受ける報告とともに、リアムとエミリーの結婚についても発表するため、仲睦まじく見せるべくいつも以上に体を寄せている。
改めて念押しをするリアムの優しさに胸を打たれる。
「リアム様の求婚をお受けすると決めた時から、なにがあってもリアム様のお側にいると心に決めておりましたわ」
「そうか」
満足そうに頷き、広間へと進む。