クールな王子は強引に溺愛する
すぐに大人たちに発見され、エストレリア伯領の屋敷に連れ帰された。幸いエミリーの指は腫れ上がりはしたが大事に至らず、ふたりでお説教を受ける羽目になった。
エストレリア伯爵と伯爵夫人を前に、エミリーは気丈にもリアムを庇う発言をする。
「レシアスは悪くないの。私が無理矢理連れて行って見せたのよ」
涙まじりの訴えは、最後には大泣きに変わる。
黙って聞いていたリアムは居心地が悪かった。無理矢理ではなかった。エミリーとなら嬉々として地獄の果てでも付いていっただろうから。
しかし部外者であるリアムの発言は憚られた。しかも王子である自分の発言には、力があることを幼いながらに理解していた。
自分の不用意な発言で、エミリーを窮地に追い込むヘマはしたくなかった。