クールな王子は強引に溺愛する

 エミリーの両親は困っただろう。リアムの真の姿が、アンベリール王国の第二王子と知っていただろうから。

 娘に「王子様にもしものことがあったら」と雷を落としたかったに違いない。しかしエミリーの両親は賢明な判断を下した。

「エミリー。大切な友達が、怪我をする可能性だってあったのだよ」

 大泣きしていたエミリーは一瞬、声を詰まらせ、次の瞬間には目にいっぱいの涙を浮かべリアムに抱きついた。

 目を丸くするリアムの胸にしがみつき、エミリーは声を上げて泣いた。

「ごめ、ごめんなさい。レシアス。危ない目に遭わせて、ごめんなさい」

 奔放でそれでいて繊細なエミリーに強く惹かれた。それは今もなお変わっていない。
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