クールな王子は強引に溺愛する

 俯いている顔には影ができ、その陰影がリアムの面立ちをはっきりさせる。深く鋭い碧眼が緩められ、優しく細められる。

「ああ。愛している。エミリー」

 頬に指先が触れ、遠慮がちに輪郭に沿って撫でられる。

 目からは勝手にハラハラと涙が流れ、リアムの指先を濡らす。

「どうした。なにが悲しい」

 リアムの問いかける声はどこまでも優しく、余計に胸を切なくさせる。

「そんな、だって、初めて肌を重ねたとき、悲痛な顔をされていました」

 フッと息を吐くように笑い、リアムは心の内を明かす。

「それは、想いを寄せているエミリーに酷い仕打ちをする自分が許せなかった」

「酷い仕打ち……」

「俺の一方的な想いで、結婚を承諾させ、契りを」

 小さな華奢な手が口元を塞ぎ、言葉を遮られる。
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