クールな王子は強引に溺愛する
「もう一度、愛を囁いてくださいませんか?」
度重なる申し出に、眉尻を下げ少々困惑した表情を浮かべつつも、薄い唇が言葉を形取る。
「エミリー、愛している」
確かに聞こえたリアムの愛の囁きに心は震え、秘めて打ち明けるつもりのなかった想いを告げさせる。
「わたくしも、愛しております。リアム様」
目を見開いたまま、動きを止めたリアムは瞬きさえしない。
「リアム様?」
息をも止めていたのか、呼びかけると深く息を吐き、額に手を当て頭を振る。
「悪い冗談が過ぎる」
隠していたとはいえ、自分の気持ちを否定されるのは、寂しくて悲しい。
「私が愛していては、悪い冗談なのですか?」
エミリーが食い下がっても、リアムはすぐさま反論をする。
「いやっ。しかし、相手は分不相応だと」
額から手を離し、揺れる瞳と見つめ合う。
「私は小さな領地の出の上に、貧乏貴族です」
「しかし、紛れもなく伯爵令嬢であり、身分違いではないではないか」
到底受け入れられない態度を見せるリアムに、理由を並べる。