クールな王子は強引に溺愛する
「それでも王国の第二王子と私とでは、不釣り合いですわ」
「今の俺は辺境伯だ」
「ダメです。とても見目麗しいんですもの」
これにはリアムが笑みをこぼし、自身の頭をかき回した。いつもの凛々しい姿が崩れ、不格好であるのに、とても親しみやすい。
それどころか乱れた出で立ちは色気さえも増幅され、いつの日かのリアムを思い起こさせる。
「それを言うのならエミリー。きみもだ」
「そんなこと……」
俯きそうになる顎を掴まれ、近づいてくるリアムと唇が重なる。それは柔らかで優しいキス。
ゆっくりと離された唇に、なんだか恥ずかしくなる。それは互いにそうだったようで、エミリーは両手を顔に被せ、リアムは口元を片手で覆う。
「体調が戻ったら、休暇をもらおう。二日はいる。いや一週間でもいい」
「どうされましたか? 心労が?」
せっかく思いが通じても、今度はリアムが倒れるかもしれない。顔から手を外し、まじまじとリアムを見つめる。