クールな王子は強引に溺愛する
「はやく自分のものにしたかった。誰かにとられるのではないかと気が気ではなかった。そのせいで、強引にことを進めた後ろめたさがあった」
リアムの苦悩を垣間見て、疑問を口にする。
「修道女になるとご存じでしたのでしょう?」
「そうではあったが。神にさえ嫉妬してしまいそうだった」
そんな大袈裟な。そう口にするのを躊躇するほどに、リアムが見つめる視線はエミリーを熱く焦がす。
「死がふたりを分かつまで。いや、今回の一件でそれでは足りないと知った。死してなお、だ。そんな誓いでは物騒か」
「私はリアム様と生きていきたいですわ」
「ああ、そうだな。俺もそうだ」
真剣に語る口元をフッと緩め「もう少し寝た方がいい」とエミリーの頭を撫でる。
「リアム様も休まれた方が」
「俺の心配はいい」
優しく言いつつも取り合うつもりはなさそうだ。自分が起きていてはリアムも休まないだろうと、察して目を閉じる。
穏やかな温もりを感じながら、エミリーは眠りについた。