クールな王子は強引に溺愛する
眉根を寄せどこか叱るような口調のリアムの体に、自ら腕を回し縋り付く。
「未だに夢見心地で、実感したいのです」
暗に『抱いてくれ』と解釈できる言葉に、否が応でも体は熱くなる。なにもかもを忘れ、貪り抱き尽くしてしまいたい。
この華奢な体に、か?
リアムは強靭な自制心を持って、エミリーの腕を解き、首を振る。
「ダメだ。まずは食事を」
潤む瞳がリアムを覗き込む。その視線から逃れるように顔を背ける。
「存分に愛したい。今のエミリーでは壊してしまいそうだ。もう失いそうな思いはしたくない」
大きな手は頭を乱暴に撫で、そのまま引き寄せる。頭にキスを落とし、体を離された。
「食事を用意させる。ほかにも身の回りを整えさせよう」
よろよろとリアムは立ち上がり、人を呼びにいってしまった。