クールな王子は強引に溺愛する

 リアムと交代してモリーが顔を出し、明るい笑顔を向ける。

「本当に良かったです。本当に」

 しかし笑顔もすぐに涙声に変わる。

「す、すみません。すぐに準備をいたします。お食事もそうですし、シーツも全て変えましょう。湯あみもして、それに」

 目まぐるしい予定を告げていくモリーに、クスクス笑う。

「それは大変ね。体がひとつじゃ足りないみたい」

 エミリーの言葉にモリーもハッとして、そして表情をなごませる。

「ええ。そうですよ。数日分のお世話をさせていただきますから、覚悟なさってください」

 ああ、私はなんて幸せなんだろう。みんなに愛されて、きっとみんなの数日分の愛情をこれから受け取るんだわ。

 モリーに体を支えられ、長椅子に横たわる。さすがに数日寝てばかりだった体は、歩くこともままならない。

 そうと知っていたからこそ、リアムはエミリーの体を慮ったのだろうと想像する。

 それでも、感じたかった。心も体も全てで、リアムに愛されていると。
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