クールな王子は強引に溺愛する
「そうしてエミリーがキッシンジャー卿の求婚を受け入れざるを得なくした」
しんと静かになった部屋で、エミリーは控えめに告げる。
「リアム様が助けてくださったわ」
「ああ。リアム様には感謝してもしきれないよ」
朗らかにそう言う父と、父に抱かれ小さくなる母に思いの丈を伝える。
「私はとても幸せですわ。きっかけは恐ろしい理由でしたけれど、そのお陰でとても幸せだっと気付けたのかもしれないです」
「エミリー……」
エミリーは自分のできる限りの最大限の笑顔を母に向ける。
「だから、お母様も安心してお父様といつまでも仲良くしていてください。ふたりは私の憧れの夫婦なのですから」
互いに見つめ合い、それからエミリーの元に歩み寄り父は母ごとエミリーを抱き寄せた。
「ああ、エミリー。我が娘。エミリーは我々の誇りだ」
「私も、尊敬しています。だって大好きな両親ですもの」
エミリーも回している腕に力を込め、幸せを噛みしめた。