クールな王子は強引に溺愛する
両親を見送った後、負担をかけぬようしずしずとモリーとともに歩く。寝て休むのも大切だが、体力をつけなければ今度は疲れで倒れてしまう。
花を愛で、草花を摘み、寝込んでいる間に完成していたプラムのジャムを試食する。
屋敷には鈴が転がるような柔らかい笑いが聞こえるようになり、ここ数日の暗い雰囲気も一層され明るく華やぐ。
遅れている、クリフォード卿からの仕事の引き継ぎを受けながら、リアムは穏やかな気持ちに包まれた。
一日を終える頃、まだ皆と同じ食事を食べるのは難しいという配慮で部屋で取る手筈となる。
しばらくひとりでの食事を進めていると、食事を終えたリアムが顔を出す。
「ああ、随分と顔色がいいな」
長椅子まで真っ直ぐに歩み寄り、当たり前のように片腕でエミリーの腰を抱く。そして身動ぐ間も与えられぬまま、唇が奪われる。
「甘いな。プラムのジャムか」
唇についたジャムを舐め取る姿に目は縫い付けられ、視線は妖艶な舌に釘付けられる。再び唇が重なると存分に味わい尽くし、離した頃にはエミリーの唇の方がぷっくりと熟れた果実のように赤く潤んだ。