クールな王子は強引に溺愛する
貴族の世界は華やかで煌びやかだ。社交界では季節になると毎夜のごとく夜会が開かれる。若い令嬢にとっては、将来の夫となるべく殿方との出会いを求めるために参加すると言っても過言ではない。
エミリーも例外ではなく十四歳で陛下へのお目通りを済ませ、社交界デビューした。一、二度、夜会へ参加したにはしたが、華やかな裏で愛憎渦巻く空気を感じて次第に足が遠のいてしまった。
その頃に比例するようにエストレリア伯領の財政が悪化したのもあり、夜会に参加している場合ではなくなったのは、エミリーにとっては救いだった。
貴族の生活に夢を見いだせないエミリーは修道院のシステムを知り、修道女になろうと決意した。けれども傾いたエストレリア伯領を放り出し自分だけ修道院に逃げ込む真似はできなかった。
その思いは今も変わらない。