クールな王子は強引に溺愛する
リアムの登場に驚いたのは、有名な第二王子だからという理由だけではない。
幼い日の淡い恋心。その相手こそがリアム王子だった。
お忍びで遊びに来ていた時に会ったのだろう。彼が第二王子リアムだと知ったのは、ずっと後だった。
奇しくも手の届かない相手だったのだと気付いた時に、自分のこのふわふわした想いは恋心だったのだと自覚した。
それと同時に誰もが見惚れてしまう男性なのだから憧れてしまったのも無理はないと納得させ、この想いは胸の奥底にしまいこんだ。
春のうららかな陽気の下でたまに思い出し、懐かしむ程度で幸せだった。
屋敷に戻ると執事であるローレンスが慌てた様子で駆け寄ってきた。
顔には焦燥感が漂っており、急き立てるように口火を切った。
「エミリーお嬢様。そのような格好でお戯れになりませぬよう何度もお願い致しているではありませんか」