クールな王子は強引に溺愛する
何度目かに目を覚ますと、「いい加減、公務を放棄し過ぎているとグレイソンに愚痴られそうだ」と囁き、まぶたにキスを落とす。
そしてリアムは甘い顔をして続ける。
「しかし、騎乗しようにも腰が使い物にならないかもしれないな」
艶かしくエミリーの腰を撫でるリアムに、僅かばかりの抗議をする。
「もう無理ですと、私は何度も……」
「フッ。エミリーは休んでいればいい」
「私も休んでばかりはいられませんわ」
ベッドから起き上がるリアムに続いて、エミリーも起き上がろうとしたが、よろめいてベッドに逆戻りした。
「無理するな」
エミリーの頭を撫で、リアムは軍服に袖を通した。着替え終わると精悍な顔つきになり、遠い存在なのだと何度目かの実感を嫌というほどにする。