クールな王子は強引に溺愛する
「本来なら、第二王子リアム様の花嫁候補でもあったのですが、ねえ。ま、リアム様の妾でも男児を産みさえすれば、正妻になれますかね」
どこまで侮辱すれば気が済むのか。わなわなと震えそうな手を握り締める。
「ご令嬢たちを束ねてお連れいただくのは、妃のお仕事かもしれませんね。城の女性たちを束ねるのは、王妃の仕事ですから」
そんな馬鹿な。自分の夫の妾になるやもしれぬ女性を、世話しろと言うのか。
反論したいのに、城での自分の立場が分からず、言葉に詰まる。
「いい加減にしたらどうだ。兄上はキッシンジャー卿が連れてくるご令嬢に興味がないと申しているぞ」
またしてもリアムが現れ、エミリーを助ける。うれしいはずなのに、心は弾まない。
「エミリー。行こう」