クールな王子は強引に溺愛する

「嘘でも、愛していると囁いて口付けでもして差し上げてくださいませ。姫は王子の口付けで目覚めるのが常識でございますから」

 グレイソンは「今日までのお仕事はどうにか調整しておきますので、エミリー様をお願いいたしますね」と念押しをする。

 ふたりが部屋を出ていくと、リアムは眉根を寄せ、エミリーを見つめる。顔色を悪くさせ、なにかを思い詰めているような表情は胸を締め付けてエミリーの頬を撫でる。

「子どもの頃から、好きであった。きみを守るために騎士になり、元帥にまでなった」

 口に出すと胸が苦しくなり、こちらが倒れてしまいそうだ。深く息を吸い込んで、吐き出してから一番大切な言葉を口にする。

「エミリー。愛している」

 モリーに言われた通り、まじないでもかけるように赤く可愛らしい唇にキスをした。
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