赤い宝石の約束


私は毎日夢を見る。


けど、


覚めたくない時に限って、


『これは夢?』


気づいて目を開けてしまう…


今日もそんな感じだ。


あぁ…あの後どうなったんだ?


モヤモヤが止まらないわけで。


しばらく布団の中から動けないのである。


もう一回寝たら、続き見れる?


『そろそろ起きないと遅刻するよー!』


お母さんの声だ。


さっ、起きて化粧でもするか。


『じゃ、いってくるねー!』


駅へと走る。


ギリギリだ。


満員電車に揺られながら、


今日から来る新しい人の事を考えていた。


どんな人が来るんだろ…


部署は違うから関係ないけど、


どうせ来るならカッコいい人がい〜な〜


なんて…


会社に着き、エレベーターに乗る。


やばい…ほんとギリギリだ!


閉まるボタンを連打する。


と、ドアが閉まりかけたその時、


ドンッ!!!


ドアの間に手が。


そして、ゆっくりとドアが開く。


走って来たのか、呼吸の乱れた男は私を見ると驚き、


『すいません!誰も乗ってないかと思って…』


『いや、こ、こちらこそ、閉めてしまってすいません!』


パニックで、謝っていた。


気を取り直し、


『何階ですか?』


と聞くと、


『10階お願いします。』


男は恥ずかしそうに下を向きながら答えた。


10階…同じフロアだ。


エレベーターが10階に止まる。


私も急いでたけど、


汗だくの彼を優先してあげた。


『お先どうぞ。』


男は頭を下げると、走って行った。


私もすぐに後を追った。


なんと、同じ会社だった。


朝礼が始まる。


さっきの男が紹介された。


『今日からお世話になります、清水蓮です。よろしくお願いします。』

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