赤い宝石の約束


車の中にいた。


父が運転、母が助手席、私は後ろの席で。


私は大きな声で歌いながら、外を見ていた。


山道を通ったり、畑の中の道を通ったり、


見慣れない風景にワクワクしていた。


『さっ、ついたぞー!』


お父さんのお友達の家に遊びにきた。


すごく大きなおうちの前には海が広がっていた。


ピンポーン!


すると、


『こんにちわ〜よく来たね〜!』


どこかで見覚えのある顔…


なんと、


こないだリナと行った、


ハンバーガー屋のオーナーだった!


父とは友人のようだ。


オーナーは私を見ると、


『こんにちは。確か、うちの子と同じだったかな?』


と言った。


『神崎真央です。3年生です。』


『そっか、一緒だ!おーい!蓮!ちょっとこっちおいで!』


蓮がきた。


『こんにちわ。神崎真央です。』


『…』


『3年生です…』


『…』


蓮はずっと恥ずかしそうな、気まずそうな感じで、


ペコっと頭を下げると、逃げるように奥へ行ってしまった。


『ごめんねー無愛想で…』


『男の子なんてそんなもんだよ。いやーそれにしても久しぶりだなー』


『どうぞどうぞ、上がってください。疲れたでしょ。お茶入れるよ。』


父とオーナーは部屋の奥へと入っていった。


私は海に行きたくて、


『お母さん、海行こ!』


と誘ったけど、


『荷物もあるし、もう夕方だし、明日ね!』


明日!?


『えっ!?今日がいい!今行きたい!』


『ほら、中に入ろう。』


全然聞いてくれない。


海はすぐそこ、目の前なのに…


もういい!1人で行っちゃえ!


私は海に向かって走り出した。


後ろから私を呼ぶお母さんの声がしたけど無視した。


『わぁー海ダァー!』


裸足になって海へ入った。


冷た!


すると後ろから、


『お母さんが呼んでるよ!』


蓮が来た。


『危ないから帰っておいでって!』


『大丈夫!私泳げるから!』


『お母さんに怒られるよ!』 


『ねぇ!こっちきて一緒に遊ぼ!冷たくて気持ちいいよー』


『でも僕、うみ…』


と言いかけた時、蓮の後ろから、ものすごい勢いで走ってくる男の子が…


『海だ海だー!俺も入れてー!!』


そのまま勢いよく海に入ってきた。


海水が、私の洋服と顔面にバシャバシャかかった。


『うわっ!しょっぱい!ちょっと!濡れちゃったでしょ!』


と言っても、私の声は届いてないようで、


『ほら!お前もこいよ!』


男の子は蓮を誘った。


『僕はいい。』


すると、


『りょー!!』


男の人の声が。


『やべっ!父さんだ!』


男の子は海沿いをバシャバシャ走って逃げたていった。


お父さんが必死で追いかけていた。


その光景がおもしろくて。


蓮も同じことを思っていたらしく、


2人で目を合わせて笑った。


夕食の時、食堂に男の子と男の子のお父さんがいた。


同じおうちにお泊まりだ。


楽しい毎日になりそうだ。

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