赤い宝石の約束


次の日、朝から海へ。


浜辺には昨日の男の子達もいて。


父が男の子のお父さんに、


『隣いいですか?』と言った。


『どうぞどうぞ…』


父は隣にテントをはった。


男の子のテントの中から赤ちゃんの声が聞こえた。


覗いてみると、綺麗なお母さんと、双子のかわいい赤ちゃんがいた。


挨拶をした。


『神崎真央です。赤ちゃん、かわいいですね。』


中にいたお母さんはにっこり笑って、   


軽く会釈をしてくれた。


すると、男の子のお父さんが、


『いくつ?』


と尋ねてきた。


『9才です。3年生です。』


『あっ、じゃあうちのと同い年だ!あそこで泳いでるよ。よかったら遊んであげて。』


と言った。


今度は父が、


『双子の子は男の子ですか?』


と尋ねた。


『うちはみんな男なんですよ…女の子うらやましーなー』


なんて話をしながら、


『清水さんのとこにお泊まりですよね?』


持ってきた缶ビールを男の子のお父さんに渡した。


早速2人でグビグビ飲みながら話し始めた。


『お母さん!早く海行こう!』


『ちょっと待って!浮き輪準備するから!』


『じゃ、先に行ってるね!』


『気をつけるんだぞ!遠くへは行くなよ!』


『はーい!』


私は砂浜を思いっきり走って海にダイブした!


冷たくて気持ちいい!


すると、男の子がやってきた。


『一緒にあそぼーぜー』


『うん!』


『お前、名前は?』


『真央だよ!神崎真央!』


『俺は木村涼!』


『涼ね!』


『呼び捨て!?』


『だって、同じ3年生だよ!』


『えっ!?そうなの?年下かと思った!』


一緒に砂で山を作った。


鬼ごっこをした。


浮き輪で泳いだ。


それを遠くから見ている子がいて。


蓮だった。


『ねぇ、蓮がいるよ!蓮も一緒に遊ぼうよ!』


『おうっ!俺よんでくる!』


涼は走って蓮の元へ。


しばらく2人で話した後、涼だけ戻ってきた。


『なんかあいつ病気だから海には入れないんだって。』


『病気って?なんの?』


『知らね。だから、あとで家で遊ぶ約束してきた!真央も遊ぼう』


『うん!』


お昼になると、蓮のお父さんがお弁当を持ってきてくれた。


焼きそばとおにぎりと唐揚げ、卵焼き…どれも美味しそう…


食事の支度をしてくれてた蓮のお父さんに、


『蓮て病気なの?』


と、涼が尋ねた。


『そうなんだよ。海に入るとね、蕁麻疹がでちゃって。』


『アレルギーとかですか?』


母が聞くと、


『アレルギーかはわからないんだけど、海に入ると蕁麻疹が出て呼吸困難になるんですよ…こんなに近くに住んでるのにね〜原因はわからなくて…でも、海以外なら大丈夫だから、遊んでやってな!』


『うん!遊ぶ遊ぶ!もう蓮とは友達だから!』


『うん!真央も!』


そして私たちは顔を見合わせ、


一緒に焼きそばを頬張った。


夕食は涼の家族と、蓮の家族、


みんなで一緒に食べた。


この大きなおうちに泊まっているのは、


私たち家族と涼の家族だけ。


その日は遅くまで宴会だった。


次の日、天気は曇っていて。


少し寒いから、貝殻拾いをする事にした。


母と2人で浜辺へ。


母はテントの中で休んでいた。


私は貝殻を探した。


すると、綺麗な小さな石が落ちていた。


『お母さん、見て!綺麗な石!』


『本当だね。シーグラスだね。』


『シーグラス?』


『そう。ずっと昔に海に捨てられた瓶の破片だよ。海の中の石とか漂流物にもまれて角がとれて。こうやってまるくなるの。海の宝石って言われてるんだよ。』


『宝石!?ならいっぱい探そ!』


私は大きいのがほしくて、夢中で探した。


すると、


『まーおー』


私を呼ぶ声がした。


『おい!聞こえてるなら返事しろよな。』


『真央、なにしてるの?』


あれ?なんかこれ…知ってる…


『見てこれ!綺麗でしょ!』


『僕も一緒に集めていい?』


『まーおー見て見て!すごくおっきいの見つけたー!』


『うわっ!すげー!やっぱり俺も探そ!』


そうだ!それで、お父さんが呼びにくるんだ!


目が覚める…


すぐに手帳を開ける。


こないだメモした記録と…


つながった。


前回の夢とつながった。


うそでしょ…


なんで…


やっぱり、私は大事な事を忘れてる気がする。


思い出さなきゃいけない気がする。


そしてすぐ、母に電話をした。

< 8 / 11 >

この作品をシェア

pagetop