ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

後日、届いた入学手続きの書類を眺めながら、入学予定が一年早まっただけだと前向きに考えようとしたけれど、それもなかなか難しい。

その頃には、診療所の手伝いができなかった分の埋め合わせとして、もう少しゴルドンの元でしっかり学びたかったと考えるようになっていたからだ。

しかし、ゴルドンの居場所がここからアカデミーに移るとなると、未練は綺麗さっぱり消えて無くなる。

前向きにひたすら頑張るという目標だけがロザンナの心に残った。

ロザンナはちらりとゴルドンを見て、ぽつりと問いかける。


「アルベルト様といろいろお話されているようですね。……花嫁候補に関しての私の発言に関して、何か仰っていられましたか?」


ゴルドンは口元に微笑みを浮かべてから、ゆっくりと頷く。


「えぇ。つい先日、ちょうどその話を聞いたところです。アルベルト様は、あなたに嫌われているかもとひどく落ち込んでおられましたよ。ロザンナさんがそう言い出すのに心当たりがあったもので、自分なりの考えを述べさせていただきましたけど」


何を言ったのだろうか。ゴルドンの微笑みが何かを企んでいるように見えてきて、急に怖くなる。

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