ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています


「……じ、実はそうなんです。アルベルト様がマリンさんをお好きなら、私が妃教育を受ける必要などないんじゃないかと」


おほほと笑って見せると、ゴルドンの視線がすっとロザンナを通り越した。


「ほら。俺が言った通りでしょ? 女神だって嫉妬くらいしますよ」


まさかとロザンナは大きく後ろを振り返り、「ひっ」と声にならない悲鳴をあげる。いつの間にか戸口にアルベルトが立っていた。

「なんだそうか」とにっこり微笑みかけられ、ロザンナは「ふっ、ふふっ」と泣きそうな顔で笑い返す。


「それならそうと言ってくれたらよかったのに。久々の再会のところ悪いが、ロザンナは連れて行く」


アルベルトはロザンナの手を掴み、そのまま診療所の外へと連れ出した。

外に待たせていた艶やかで逞しい馬の背にアルベルトは跨がり、そのままロザンナも引き上げる。


「待ってください。まだゴルドンさんとお話が。」

「話ならこれからいくらでもできる。アカデミーで」


ロザンナは「でも」と食い下がろうとしたが、アルベルトの合図で馬が颯爽と走り出し、小さな悲鳴へと変わった。

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