ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています


一ヶ月後、つい迎えたアカデミー入学日。

割り振られた寮の部屋にトゥーリを残し、ロザンナは少しも迷うことなく式典が行われる大広間へ向かう。

大広間の中は本日入学が叶った学生や花嫁候補たちで既にいっぱいになっていて、みんな一様に期待と不安の入り混じった顔をしている。

九回目の入学式は死へ一歩近づいてしまった気持ちで気怠い顔をしていたロザンナだったが、今回は違う。

しっかり学んで、なおかつ生き残ってみせるとやる気を漲らせていた。


「もしかして、ロザンナ・エストリーナ?」


突然斜め後ろから名を呼ばれ、ロザンナはドキリと鼓動を高鳴らせる。

聞き覚えのある声に思わず口元が綻ぶも、この場では初対面なのですぐに表情を引き締めて振り返った。


「はい、そうです。……あなたは?」

「突然馴れ馴れしく話しかけてごめんなさい。私、ルイーズ・ゴダード。寮であなたの隣の部屋になったの。よろしく」

「あぁ、あなたがルイーズさんね。私もどんな方が隣りか気になっていましたの。どうぞ仲良くしてくださいな」


顔を見合わせふふっと微笑み合った時、「ロザンナさん!」とまた聞き覚えのある声がかけられた。

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