ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「本当ね。アルベルト様にはもう既に惹かれている女性がいるみたい」
「それは私じゃないわ。誤解だからね!」
ルイーズから意味深な目を向けられ、ロザンナは青ざめる。
九回目はマリンの嫉妬が死因につながったため、今回も要注意だ。彼女を刺激しない方が身のためだと強く意識した。
無事に入学式を終えると学びの日々が始まる。
王室や自国の歴史、立ち振る舞いのマナーからダンスまでしっかりと叩き込まれるため、授業自体は辛い時もあるのだが、四十人全員ではなく何人かで分けられて順番に授業を受けていくため、何もしない空き時間も生まれる。
ロザンナが寮の自室でゴルドンに借りっぱなしの魔法薬の本をのんびり眺めていると、コンコンと戸が叩かれ、ルイーズが顔を覗かせる。
「あら、もう昼食の時間ですか?」
空き時間後、そのまま昼休憩に入るため、食事を共にする約束をしていたのだ。
慌てて本を閉じたロザンナへと、ルーイズが軽く首を振りながら歩み寄る。
「図書館に行く途中でアルベルト様とお会いしたの」
「そ、そう」
にこやかに微笑み返しながら、「でしょうね」とロザンナは心の中で呟く。