ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

花嫁になる可能性が高いとみなされてる候補者なら尚更で、父が宰相であるロザンナもその一人に名を連ねているだろうことは、簡単に予想がついた。

それでも、王子本人の口添えがあれば話は別で、すんなりことが運ぶ。

時間の猶予はあまりない。すぐにでもアルベルトと会わなくてはと、ロザンナは紙をルイーズに返して椅子から立ち上がる。


「ありがとう。私も今からアルベルト様にお願いしてくるわ。昼食の準備はしておいて。でも戻りが遅くなるようだったら先に召しあがって」


トゥーリとルイーズに声をかけつつ、ロザンナは部屋を飛び出した。

確かこの時間、アルベルトがいるのは大階段の近くの教室だったはずだ。ある程度把握できていて助かったと今までの自分に感謝しながら、大急ぎで歩を進めた。

大階段の下に到着し、すぐそばにある大きな扉を見つめながら息をつく。授業はもうすぐ終わる。ここで待っていたら、彼を見逃すこともないだろう。

階段の上や廊下を学生や花嫁候補たちが歩いていく。ちらちらと向けられる視線に居心地の悪さを感じ始めた時、あの胸像に目が止まる。

そろりと歩み寄り、前回の直接的死因理由である初代学長を恨めしく見つめた。

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