ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「その才能を、少しは妃教育の方でも発揮してくれないか? 聖魔法の師団長から、半年後、ロザンナが二年生としてアカデミーで学び続けられるよう計らってほしいと、申し出があったそうだ」
「まぁ、望んでいただけているのですね。それなら私も期待に添えられるようもっと頑張らなくては」
もしかしたら今が、これを機に聖魔法だけに専念したいと、再びの辞退を切り出すチャンスかもしれない。
ロザンナはそわそわし始めた時、アルベルトが真剣な面持ちで話し出す。
「……実は、さっきの嘘なんだ。選考の決定打は宰相じゃない。宰相はロザンナをと推したがロザンナの成績があまりにも平凡だから、マリン・アーヴィングで決まりかけていたんだ」
「それならどうして」
「俺が、一番最初のダンスの相手はロザンナじゃなきゃ嫌だと発言した」
そこで大広間の扉が開けられ、賑やかな演奏に導かれるように学長が中へと足を進める。
驚きで動きが鈍る中、アルベルトに手を引かれてロザンナも歩き出した。
人々の視線など気にする余裕はなかった。