ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「手伝ったことで私がロザンナさんに賛同したととられて、それでふたりと喧嘩になってしまったの。……って、ごめんなさい。こんなこと言われたら気を悪くしますよね」
「平気です。よく思われていないのはしっかり気付いていますから」
ロザンナは扇動したつもりなどさらさらないが、彼女ふたりの目にはそう映っているらしい。
最初に動いたのはロザンナでも、それは単なる切っ掛けに過ぎない。
後に続けたのは、その人の心に躊躇いや不安を乗り越えられるほど強い思いがあったからだ。
「授業についていくのがやっとのくせに、手伝おうなんておこがましいって。かえって邪魔になっただけよとも言われて、確かに私はなにもできなかったから言い返せなかった。……でも、誰かの力になりたいと思って聖魔法師を目指しているんだもの。今動かなかったら後悔すると思ったの。私、間違ってなんてないわよね」
肯定するようにロザンナが頷くと、ピアはホッと息を吐く。
晴々としたピアから、真っ直ぐに飾られた感謝状へと目を向け、ロザンナは小さく微笑んだ。
学生同士あれこれ意見を交換しながら聖魔法の授業を受けるのは初めだった。