ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

満ち足りた気持ちでピアに別れを告げて教室を出たのだが、次の妃教育の授業が行われる教室に近づくにつれ、徐々に気分が重くなっていく。

教室に入ると、すぐに四人の花嫁候補に取り囲まれた。

にこやかに「席を取っておきましたわ」と報告され、暖かな日差しが降り注ぐ窓際後方の席へと連れて行かれる。

そこにはすでにルイーズが座っていて、苦笑いで「お疲れ様」と軽く手を振ってきた。

ルイーズの隣にロザンナが腰を下ろすと、その前後に先ほどの花嫁候補たちが当然の顔で座る。

会話に参加しようと聞き耳を立てている彼女たちの気配に、これではルイーズと気軽に話ができないとロザンナは小さくため息をついた。

休暇明けから付き纏い始めた彼女たちは、取り巻きのようなもの。

パーティーでアルベルトと踊り、手の甲に熱い口づけを受けたロザンナが花嫁に選ばれると彼女たちは踏んだのだ。

これまでの人生でも彼女たちは同じ選択をしている。ロザンナにとってはまたかと言ったところである。

そして廊下側の席にも、同じような人の集まりができている。その中心にいるのはマリンだ。

< 157 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop