ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
それは妃教育である。王族のマナー、相応しい振る舞いや心構えなどを学ぶべく、王子がアカデミー入学と同時に候補に上がっていた娘たちも招集されるのだ。
そのため、入学資格は十七才を迎えて以降が普通であっても、招集される娘たちの年齢はバラバラ。
しかし、多くの中から選ばれたという点で変わりはなく、娘たちもまた胸を張ってアカデミーの門をくぐる。
妃教育を受けるのは一年間。年度の最後に行われるパーティーで、王子本人の口から、花嫁に選んだ娘の名前が告げられる。
そして今、そのパーティーが始まろうとしている。
ドレスを身に纏い着飾った花嫁候補の娘たちが、第一王子であるアルベルトが大広間に姿を現す瞬間を胸を高鳴らせ待つ中、ロザンナ・エストリーナは警戒心いっぱいに目を光らせ、機敏に室内を見回していた。
大広間には婚約者候補たちの他にアカデミーの生徒たちの姿もあり、人でひしめき合っている状態。
横からポンと肩を叩かれ、「ひっ!」とロザンナは小さく悲鳴をあげる。しかし、相手が友人のルイーズだと分かり、安堵のため息を盛大に吐いた。
「もう、びっくりさせないでよ!」