ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「ずっと気になっていたんです。彼は元気にしているだろうかって。アルベルト様のお役に立てて良かった」
男が騎士団員に連行されるのを見つめながら、アルベルトがロザンナを軽く抱きしめ返した。
ふたりの元にやって来たダンが、神妙な面持ちで話しかける。
「二年前、宰相を襲ったのは自分だと白状しますかね」
「スコットがやつを覚えているし、白を切らせはしない。必ず罪を償ってもらう。そしてその後ろにいるヤツも引っ張り出してみせる」
アルベルトとダンの会話で、やはり先ほどの男は両親の事件にかかわったのだと確信する。
「アルベルト様、もしかしてずっと犯人を探してくれていたのですか?」
思い切ってのロザンナの質問に、アルベルトはやや間を置いてから口を開いた。
「実はあの時、俺はスコット夫妻が狙われていると知り、何とか阻止しないとむかったんだ。けれど敵はあの男の他に数人いて、情けないことに返り討ちをくらってしまった」
「……そうだったのですね」
「スコットたちはロザンナのおかげで命は助かったけど……、ロザンナが通りかからなかったら、違う道を通っていたら、少しでも遅かったら、なくてはならない存在を失っていたとしてもおかしくない。大切な人を傷つけた輩は、絶対に許さない」