ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

なにも解決できないまま、アルベルトはスコットの命を奪った男の娘を娶ることになる。

前回、マリンへ求婚する直前に自分に向けられた彼の眼差しを思い出し、ロザンナの胸が痛み出す。

きっとあの時、アルベルトは心の中でロザンナに謝罪をしていたのかもしれない。スコットの仇を取れず、申し訳ないと。

そして、王妃から聞いた通り、十二歳の誕生日パーティで既にアルベルトの心がロザンナに傾いていたとしたら、……好きになっていたとしたら。


「借りを返せた。これで心置きなくロザンナに結婚を申し込める」


彼が見せた優しい微笑みにロザンナの目から止めどなく涙がこぼれ落ちていく。

これまでの思いを伝えたくて、さっきよりも強い力でアルベルトに抱きついた。




アカデミーにアルベルトと共に戻ると、ちょうどお昼の時間に入ったらしく人々の移動が起こっていた。

寮まで送るという申し出をありがたく受けて、ふたり並んで歩いていると、途中でマリンの一団と鉢合わせする。

ロザンナが急にいなくなったのは、やはりアルベルトからの呼び出しがあったからなのねと取り巻きたちが騒ぎ出す中、マリンが無表情でアルベルトの前まで進み出て来た。

< 203 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop