ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
マリンと母は、父が捕まったその翌日からどこかに姿を消してしまったからだ。
暗い空気が立ち込めていても日は昇り、人々の日々は続いていく。
一週間ほどの休暇を経て、マリノヴィエアカデミーは新学期を迎えた。
休暇中から寮の部屋が一緒になったルイーズとピアはすぐに仲良くなり、毎晩夜更かししてはロザンナの話で盛り上がっている。
一方、リオネルはぎりぎりの成績での進級となったため、休み中も補習三昧だった。
ゴルドンはアカデミーの教師だけでなく魔法院の聖魔法師としても活動し始め、メロディは王太子妃の教育係として城に入ることとなった。
そう、ロザンナの日々も途絶えることなく続いている。
トゥーリに髪の毛を整えてもらい、鏡台の前から立ち上がったロザンナはテーブルの上に置いてあった教本を胸元に抱えて、そわそわと室内を動き回る。
「ロザンナ様、落ち着いてください」
「楽しみすぎて、じっとしていられないわ。今日から聖魔法の授業が始まるのよ。それでね、お昼はルイーズたちと学食の予定なの!」
「あぁそうか。ロザンナは食堂で食べるのは初めてだったな」