ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「そんなに不安な顔をなさらないで。きっと大丈夫ですわ。選ばれるのはロザンナさんに決まっています」
「そうです。気品に満ち溢れ、所作振る舞いは完璧、ロザンナさんこそアルベルト王子の花嫁に、未来の王妃に相応しいですわ」
「見目麗しいアルベルト王子の隣に並んでも引けを取らないのは、女神とロザンナさんだけですわ」
「もはやロザンナさんが女神ですもの」
口々に褒め称える彼女たちにロザンナは真顔になる。いったい誰のことを言っているのかと浮かんだ疑問に、やや間を置いてから、あぁ私のことかと脳内で答えを導き出す。
ロザンナはすっと姿勢を正し、彼女たちに微笑みかけた。そしてあえて周りにもしっかり聞こえる音量で話しかける。
「みんなありがとう。でも、アルベルト王子の心はすでに決まっているご様子ですから……ってあの、聞いてますか?」
問いかけるも、彼女たちは頬を赤く染めて、惚けた顔でロザンナを見つめている。
「本当にロザンナさんはお美しい」
再び彼女たちが賛辞を口にし始めたためロザンナは困り顔になる一方、心の中で「人の話を聞きなさい!」と怒りの雄叫びを盛大に上げる。