ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
食事の後に兄を散歩に連れ出して、庭に咲いているディックを触らせてみたのだが何の反応もなく、疑問は募るばかり。
ディックにも相性があって、火よりも光の魔力の方が反応しやすいのか。それとも、想像以上に自分の能力値が高いのか。
そんなことを考えると、この力なら自分の武器にできるのではと思わずにはいられなかった。
父から反対される覚悟で、光の魔力に関して学びたいと話してみようか。
ロザンナがこれまでにない初めての道を進むことへの緊張に大きく息を吸い込んだ時、階下で「よっしゃーー!」と雄叫びが上がった。
程なくして、バタバタと廊下を駆ける足音が近づいてくる。
「ロザンナ!」
ノックもなしに部屋に飛び込んできたスコットの顔はとても紅潮していた。
ロザンナは一瞬面食らうも、その手に握りしめられた紙に見え隠れする紋章に気づき、すぐに何事かを理解して気怠く椅子から立ち上がる。
これほど舞い上がっての報告は初めてだが、王からの通知で父が大喜びするのは、……あれしかない。
「ロザンナ、おめでとう! アルベルトさまの花嫁候補に選ばれたぞ。まぁ、私の可愛いロザンナが選ばれないはずがないと思っていたが」
「そうですか」