ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
小さく息を吐いて数秒後、ロザンナはハッとし、ベッド脇のサイドテーブルへと慌てて歩み寄る。
アルベルトからの真っ白な贈り物と自分の手のひらを交互に見つめながら、もしかしたらと胸が高鳴り出す。
初めて得たこの力を、今まではアカデミーに残るための手段にならないかとばかり考えていた。
しかし、それよりももっと、大切なことがあった。
光の魔力とは治癒能力のこと。この魔力をしっかり扱えるようになっていたら、今度こそ両親を助けられるかもしれない。
思い切って、真っ白なディックに手をかざす。すると、あの時と同じように花が輝きを放ち始め、隣にあった赤い花まで光を発し出す。
かもしれないなんて嫌。諦めない。助けたい。絶対に助けてみせる。
思いに呼応して花が輝きを増す。力強い光に導かれるように、ロザンナははっきりと自分の進むべき道を見つけた。
花嫁候補に決まってからもうすぐ半年が経つ。城からの帰り道、ロザンナは馬車に揺られながら、不思議な気持ちで髪飾りに触れる。
城にはアルベルトに会いにきた。婚約者候補は、希望すれば約半年ごとに王子との時間を持つことができ、ロザンナにとって今日はその二回目だった。