ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
半年ごとということになってはいるが、婚約者候補は四十人もいて、アルベルトも誕生日を迎えると同時に第二騎士団を率いる立場に就き忙しい身になり、実際は一年に一度で会える程度である。
この人生でも一度目の約束は、候補に決まってすぐに取り付けることができた。皆が一斉に申し出る中、優先的に決まるのは宰相である父の存在が大きい。
しかし贔屓はそこまでで、半年後に再び願い出ても、二回目は四十人との顔合わせが一通り終わったあと。
本来ならばしばらく待たされるのだけれど、……なぜかこの人生では、二回目の申請がすんなり通ってしまったのだ。
そして別れ際のアルベルトの言葉が「近いうちに、会いに行く」で、言葉通りにすぐにまた彼と会う予感がロザンナにはあった。
と言うのも、城に来るのは二回目でも、アルベルトと顔を合わせるのは実は三回目。
ディックと共にもらった手紙に書かれていたように、あれから程なくして、アルベルトがお供もひとりだけと実に気軽な様子でエストリーナ邸を訪ねてきたのだ。
その時のことを思い返して気怠くため息をついた時、向かいに腰掛けているトゥーリと目が合った。