ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
彼が選ぶのはマリンである。
それに、この髪飾りも愛情のこもった贈り物では決してない。彼の口から、そうではないことをしっかり聞いているのだ。
先日、アルベルトがエストリーナ邸にやって来たのは、婚約者候補としてではなく光の魔力を持っているロザンナに用があったから。
来て早々、アルベルトはロザンナとふたりっきりで話したいと人払いをした。
その行動がスコットを喜ばせたのは言うまでもないが、実際、応接間で紅茶を飲みながらの会話に甘さは皆無だった。
研究に協力して欲しい、第一声はそれだった。
魔法薬用のディックに力を溜め込んでくれないかと言われ、そこでロザンナはあの鉢植えが贈られた意図を知る。
自分が何かの力になれるのならとロザンナが快諾すると、アルベルトが嬉しそうに顔を綻ばせた。
そして口外しないのを条件に、実は王立の魔法薬研究所にも自分は関わっているのだとアルベルトがロザンナにこっそり打ち明ける。
もうこの頃には、彼が第二騎士団に関すること以外にも次期国王になる身としてさまざまな仕事をこなしていたのを知っているため、ロザンナはそんなことまでとただただ驚くばかりだった。