ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
秘密を教えてもらったからか、ロザンナも観賞用のディックが輝いていたのはどうしてだろうかと、ずっと気になっていた疑問を思い切って口にする。
するとアルベルトは「へぇ」と感心げに呟き、「断言はできないけれど」と前置きした上で「能力値が飛び抜けて高いせいかもしれない」と考えを述べた。
しばし呆然とするも、徐々にロザンナは自分の気持ちを止められなくなる。
「本当は魔力に関して学びたいのです。でもお父様はわかってくれなくて」と泣き言を漏らすと、アルベルトが少し考えてから「わかった。うまくいくように力を貸そう」とにやりと笑った。
そのあと、新たに持って来ていた魔法薬用のディックをロザンナの部屋にある以前贈ってきたそれと交換して、アルベルトは上機嫌で城へと帰っていったのだった。
そして今日、数時間前、静かな部屋の中、周囲に侍従やら護衛がたくさんいる状態であの日の話の続きをするわけにはいかず、他愛ない世間話を淡々と続けていたのだが、ロザンナが紅茶を半分ほど飲んだところでアルベルトが「庭を散歩しないか」と席を立った。
庭を並んで歩いている間は、お付きの者たちが距離を置いてついてくる。そのため、小声にはなるものの先程よりは気軽に話ができた。