ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

魔法薬用のディックを昼間は棚の奥へ隠しておいたのだが、それをトゥーリに見つけられてしまい、光っているのはアルベルトのせいだと咄嗟に嘘をついてしまったと、ロザンナは懺悔する。

そのせいでスコットから、「王子の非凡さは神同然。いや、もはや神。お前は神に嫁ぐ覚悟を持ちなさい」と訳のわからないことをしつこく繰り返される羽目になったと打ち明ける。

アルベルトは肩を震わせて笑ったが、ロザンナは彼のせいにしてしまったことへの後悔で「迷惑をかけてしまったらごめんなさい」と表情を曇らせた。

するとアルベルトが「貴重な力だからね。能力が高いと利用しようと目論む輩も現れる。今はまだ公にしない方がいい。そのまま俺のせいにしておけ」と優しく話しかけながら、ロザンナの髪に触れる。

と同時に覚えた違和感にロザンナも彼が触れた場所へと手を伸ばし、掴み取ったものに目を大きくさせる。

髪飾りをもらったのはこの時だった。

蝶々の模した形で、羽の部分にはロザンナの瞳と同じ青色の宝石が散りばめられてあって、高価なのは見れば容易に判断できた。

なぜ自分がこれをもらうのだと動揺を隠せないロザンナの耳もとで、アルベルトが「報酬だと思って受け取れ。これからもよろしく頼む」と囁いた。

< 65 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop